汗について

 だんだんと立夏が近づいてまいりました。またあの蒸し暑い日本の夏がやってまいります。出るべき時に汗が程よく出るか?出ないか?出るべきでないのに出る汗…汗にもいろいろあり、生理病理にとって重要な情報となります。汗に係わる諸問題をことごとく論じようとすれば膨大になりますので、身近な問題に限り、お話しさせていただきます。

 一番身近な病的汗症は自汗と盗汗(寝汗のこと)です。まず自汗ですが、少し動いただけでも汗だくになったり、異様に汗かきで頑張りのきかない人は自汗症の人です。それから、夜、入眠すると発汗し、目覚めると汗は止まるのが盗汗所謂寝汗です。適度に出る汗は健康の条件ですが、その量が多すぎるとなると問題になるのです。なぜこのようなことになるかといえば、肺気が弱いということになります。肺気の中でも体表面の汗腺等の働きを調整する衛気(専門用語です、エキと読みます)が十分働かないために恒常的に皮毛面が疎漏で体液が漏れ出るイメージです。このような人は寒がりで皮膚が弱く艶の無い白っぽい肌をしています。風邪をひきやすく、疲れやすいのであまり活動的ではありません。表裏の気のバランスが悪く、表側すなわち陽気が虚しているといいます。寝汗のほうは、陰虚血虚による虚熱により心の液たる汗が睡眠とともに滲み出たものとしてよく陰虚盗汗、陽虚自汗と併称されます。
 冬の風邪やクーラーによる冷えて風邪ひいた時に、悪風して汗が滲み出る場合と、悪寒して汗出ない場合があります。汗が自ずと滲んでくるのは営気と衛気(衛気は外の衛りを担当し表側を行き、営気は裏を流れ内を栄養する…これは漢方医学の基礎)のバランスが悪いからで、営気が弱いなら営気を補うようにします。悪寒して汗出ないのは寒邪によって表陽が鬱滞した状態なので表寒を散らし衛気の働きを復活させれば汗が出だすと同時に解熱するはずです。
 汗が主訴になる場合であれ、単なる一症状である場合でも、必ずその病理をしっかりと洞察することで自ずから治療の指針が立つのです。
 とりあえず、思い付きで書き始めましたので、疎漏の誹りを受けそうですがこの続きは具体的な病症につきより詳しく論じてゆきたいと思います。


 


 

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